ブルーベリー

ブルーベリー

ブルーベリーとは、ツツジ科スノキ属に分類される北米原産の低木性果樹です。
果実がきれいなブルー色をしていることから「ブルーベリー」という名がつけられました。20世紀生まれの果実で日本では1970年代に栽培が盛んになり、日本中で広く知られるようになりました。
成熟した果実は濃い青紫色をしており、「アントシアニン色素」と呼ばれる水溶性の色素が含まれています。アントシアニン色素は目によいといわれているため、健康を気遣う方から注目を集めている果実です。

第一章 見た目や味もいろいろ!ブルーベリーの種類

世界には約150種類以上のブルーベリーがあり、大きく野生種ブルーベリー栽培種ブルーベリーに分けられます。
野生種ブルーベリーにはビルベリー、ローブッシュブルーベリー、栽培種ブルーベリーにはハイブッシュブルーベリー、ラビットアイブルーベリーが分類されます。

ブルーベリーの種類図

ビルベリー(野生種)

ビルベリー

  • 主な原産国:フィンランド含む北欧
  • 大きさ:樹高;20~60cm
  • 果実の大きさ:6㎜~8㎜
  • 収穫時期:7月末~8月末
  • 色:青紫色
  • 味:果肉が柔らかく、酸味が強い
  • 特徴:北欧の代表的な野生種で、果肉が軟らかく、酸味が強いのが特徴です。ビルベリーは一般にローブッシュブルーベリーの仲間として扱われます。
    ビルベリーは果肉の中まで色素が濃い品種であり、青紫色の天然色素アントシアニンの量が非常に多く、医薬品やサプリメントにエキスとして利用されています。
    ビルベリーの果実や葉は古くから食用や、薬としても人々の生活と密接に関係してきました。北欧ではジャム・ジュース・シロップ漬けなどにして食べるほか、整腸剤として食べられています。

ローブッシュ(野生種)

ローブッシュ

  • 主な原産国:北東アメリカ、カナダ東部
  • 大きさ:樹高;15~40cm
  • 果実の大きさ:5㎜~7㎜
  • 収穫時期:8月~9月
  • 色:青紫色
  • 味:果肉が柔らかく、甘酸っぱい
  • 特徴:野生種(ワイルド)ブルーベリーとも呼ばれ、アメリカ・カナダに自生しています。樹高が低いのが特徴。
    ローブッシュブルーベリーが育つ大地は元々、氷河が作り出したところでマイナス35℃にまで達するような厳しい環境の中で育つ生命力が魅力です。豊富な種類のアントシアニンを含みます。
    収穫も特徴的で2年に1度しか収穫できず、一部手摘みによる収穫が行われる、大変貴重な果実です。果実は小さいのですが、加工に適しているため、ジャムやソース、ドライフルーツなどに利用されます。

ハイブッシュ(栽培種)

ハイブッシュ

  • 主な原産国:北米、チリ、日本、オーストラリア
  • 大きさ:樹高;1~2m
  • 果実の大きさ:1~1.7cm
  • 収穫時期:6月~7月
  • 色:紫色
  • 味:果肉が大きく、甘みが強い
  • 特徴:アメリカ北東部に自生していたものを品種改良した栽培種ブルーベリーの一種で、樹高は高い。果実が大きいのが特徴で、甘みも優れているので、主に生食用として出荷されるほか、摘み取り農園などで好評です。
    寒冷地や高冷地でよく育ち、日本では北海道、東北、関東、北陸などで栽培されています。生育には、有機質の多い砂土壌で保水性のある強酸性の土壌が適しています。

ラビットアイ(栽培種)

ラビットアイ

  • 主な原産国:北米、チリ、南アフリカ
    日本、オーストラリア
  • 大きさ:樹高;1.5~3m
  • 果実の大きさ:1~1.5cm
  • 収穫時期:6月~8月
  • 色:赤色から紫色など特徴的な彩り
  • 味:果糖度も高く、甘みが強い
  • 特徴:成熟前の果実がうさぎの目のようなピンク色になるのが特徴でラビットアイの語源にもなりました。果実はハイブッシュ種よりやや小ぶりで、成長は早いが、耐寒性は低く、寒冷地では栽培しにくいのが難点です。
    日本では関東南部から中部、中国、四国、九州で多く栽培されています。
    ハイブッシュと同様に保水性のある強酸性の土壌が適しています。近年は日本ではラビットアイの葉に健康効果があることもわかり、注目をあびています。
    果肉に歯ごたえがある。
ブルーベリーの樹の高さ

ブルーベリーの樹の高さを比べてみよう!

Q アントシアニンってなに?
A
  • アントシアニンは、ブルーベリーを含む果実や野菜に含まれる天然色素です。アントシアニンはギリシャ語のanthos(アントス)=「花」とcyanos(シアノス)=「青」に由来し、花の青色成分という言葉が語源といわれています。
    アントシアニンの種類は500種類以上あるといわれており、特にブルーベリーやビルベリーはアントシアニンの種類と量が多いことが特徴的です。

第二章 ブルーベリーの歴史

「命の恩人」のブルーベリー

ブルーベリーの歴史のはじまりは1620年。
ヨーロッパ大陸からアメリカに移住してきた人々が、ネイティブアメリカンの人々から分けてもらったブルーベリーの乾燥果実やシロップを食べたのがその始まりとされています。
野生種のブルーベリーは、ネイティブアメリカンの食生活には欠かせない果実で、古くからビタミン類の摂取源として生や乾燥ブルーベリーを食べていました。
移住民は分けてもらった野生種のブルーベリーのおかげで、冬の厳しい寒さと飢えから生き延びることができ、アメリカではブルーベリーは「命の恩人」と呼ばれています。

ブルーベリー発祥の地から日本へ

こうしてブルーベリーは食用の果実として広まり、ブルーベリーの品種改良が進みました。ブルーベリー発祥の地と呼ばれるのが、アメリカのニュージャージー州のハモントン。アメリカ合衆国大統領が1984年にその地で演説し、記念碑も残っています。
日本では1950年代からブルーベリーの栽培が開始され、2000年代の健康ブームとともに、サプリメントや健康食材として有名になりました。

第三章 世界のブルーベリー
北欧産野生種ビルベリー
きれいな球形
大きさ 小粒
濃い青紫色
果肉が柔らかく、酸味が強いのが特徴
用途 生で食べるほか、サプリメントなどの健康食品素材
特徴 健康成分アントシアニンが豊富で、一般栽培種の約5倍含まれ、果皮だけではなく果肉までアントシアニンが含まれる。
カナダ産ブルーベリー
きれいな球形
大きさ ブルーベリーの中でも最も小粒
青色~青紫色
果肉が柔らかく、甘酸っぱい味が特徴
用途 生で食べるほか、冷凍果実やジャムやペーストなどの加工食品も多い
特徴 2年に1度収穫するのが最大の特徴で、特にカナダ東部から、アメリカ北東部の特定の地域でのみ自生する。
アントシアニンの種類が豊富で21種類のアントシアニンを含むことが特徴。アントシアニンの量も多く、一般栽培種ブルーベリーの約2倍ほど含まれる。
日本のブルーベリー
球形から楕円形
大きさ ブルーベリーの中でも大きく、大きい品種などでは500円玉ほどの大きさ
青色の果実が多く、ラビットアイの中には赤色の品種もある
甘みが強いのが特徴で、果肉に歯ごたえのある品種もあります
用途 生で食べるほか、ジャムやスムージーなどに
特徴 甘みと酸味のバランスが良いほか、食物繊維がたくさん含まれているのが特徴です。アントシアニンは果皮のみに含まれる。
第四章 ブルーベリーを観察してみよう
第五章 ブルーベリーの他にはどんなベリーがあるの?ブルーベリーの仲間たち

サンタベリー(コケモモ)

  • 科・種・目:ツツジ科スノキ属
  • 品種名:Vaccinium vitis-idaea
    ブルーベリーやカシスと同じく、丸い果実をつけます。
    真っ赤な果実をつけます。
    ポリフェノールの一種、レスベラトロールが豊富に含まれており、またアントシアニンも含まれています。
    産地はフィンランドなど北欧が有名なほか、カナダや日本でも自生しています。

カシス

  • 科・種・目:ユキノシタ科スグリ属
  • 品種名:Ribes nigrum
    ブルーベリーやサンタベリーと同じく丸い果実をつけます。
    黒色に近い紫色の果実をつけます。
    ブルーベリーと同様にアントシアニンが豊富に含まれており、ブルーベリーやビルベリーに含まれていない特有のアントシアニンが含まれているのが特徴です。
    産地はニュージーランドが有名で、ほかに北欧や日本でも育っています。

クラウドベリー

  • 科・種・目:バラ科キイチゴ属
  • 品種名:Rubus chamaemorus
    6月頃に花を咲き、成熟するにあたり緑がかった黄色から赤色、完熟する頃には琥珀色に色づきます。
    クラウドベリーにはビタミンCが豊富に含まれており、また種子にはビタミンEの含有力も多く含まれています。食物繊維やポリフェノール、エラジタンニンが豊富に含まれており、美肌によい果実です。
第六章 ブルーベリー活用術

食べておいしく、体にもやさしいブルーベリー

ブルーベリーはアントシアニンなどポリフェノールが豊富に含まれており、また食物繊維が豊富です。皮ごと食べられるのが最大の魅力で、果実を生で食べるほか、ドライフルーツなどで食べることもあります。
またビルベリーの果実はアントシアニンが豊富なことから、生で食べるほか、サプリメントの原料として広く知られています。

ブルーベリーの葉は、ハーブティーや化粧品の原料に!

ブルーベリーの葉にはキナ酸、クロロゲン酸、プロアントシアニジンなどのポリフェノール成分が豊富に含まれています。
日本でも機能性の研究がすすんでいます。またビルベリーの葉には、カテキンやプロアントシアニジンのほかアルブチンなど美容に優れた成分が豊富で、ハーブティーとして親しまれる以外にも、化粧品の原料としても利用されています。

第七章 アントシアニンで実験してみよう

概要

ブルーベリーに含まれる青紫色の天然色素アントシアニンは普段は青紫色ですが、酸性度(酸性やアルカリ性などの酸性の度合い)によって色が変わる特徴をもっています。
みなさんはアジサイの花の色が濃い青紫色や赤みがかった紫色など、場所によって色に違いがあるのはご存じですか。これもアントシアニンの特徴によるもので土の酸性度によってアジサイの花に含まれるアントシアニンの色が変わるため、アジサイには様々な花の色があるのです。
アントシアニンの色が変わることを確かめられる、簡単な実験をしてみましょう。

実験手順

ブルーベリーの果実を絞り、ろ過する。
または、刻んだ紫キャベツをお湯で出しろ過する。

青紫色になった液体に酢や水、ベーキングパウダー、 レモン、小麦粉、にがりなど様々な粉や液体と混ぜ合わせて、 色が変化する様子を観察する。

TOP