毎日のように、私たちはテレビ、新聞、ラジオ、インターネットで健康に関する番組や記事を目にしています。スーパーでは、からだによいとされる食品が飛ぶように売れています。どの人も健康を気遣い、積極的に検診を受け、その結果、日本は世界でも1位2位を争う長寿国となりました。

それにもかかわらず、男性の2人に1人、女性の3人に1人が癌を罹っています。そして、多くの人々が２つも３つも慢性疾患を患い、男性で平均7年女性では平均11年もの間、要介護で過ごしています。とまることの無い社会保障費の増加は、皆さんご存知のとおりです。

高齢そのものが種種の病気のリスク要因であり、生涯楽しく、健康的に過ごすには、生物学的加齢の速度を緩くする必要があります。それこそがアンチエイジング医療です。今ある加齢変化を誤魔化す医療をアンチエイジングと唱える人々もいますが、私たちはそれが本質とは考えていません。もちろんすでに生じた加齢変化を若返らすことは無理であるので、細胞ダメージが取り戻せる時期、つまり若い時から取り組んでいなければなりません。

ヒトの一生では、エピジェネティクスという遺伝子の表現型が弱い時期があります。妊娠中、出世時、そして思春期です。この時期をどう過ごすのかによって、遺伝子の表現が変わり、一生が変わります。遺伝子そのものの変化は無いのですが、表現型は３-４世代にわたって引き継がれます。だからこの時期はデリケートであり、この時期の病気の発祥は深刻だと思います。たとえば日没後も煌々と明るい生活、夕方以降の運動、夜食習慣、夜勤などは遺伝子の発現に影響を与えます。食事そのものも遺伝子に情報を与えます。体に良いとされる食べ物を摂るにあたり、自分の体を調べてからその食材を摂り始めた人は、いったい何人いるのでしょうか？場合によっては、かえって健康を損ねていることもあるのです。錆びた体なのにエゴマ油をとってはいけません。摂ったエゴマが錆びてしまうからです。錆びているからといってビタミンＣを安易に取ってはいけません。そうしたセルフメディケーションが病気を招きます。運殿重要性を認識している人は多くいますが、自分に適した運動量を確認している人もほとんど居ません。 ストレスはこれからの時代での病気発祥の重要な要因です。ストレスは精神的なものではなく、肉体的なストレスもあります。そしてストレスそのものが、私たちの体に炎症を起こします。炎症は万病の元で、エイジングを加速します。

睡眠も大切なものだと認識されていますが、良質な睡眠は確保されていますか？ ホルモンが減るから加齢が起こり、加齢するからホルモンが減るのではありません。そしてホルモンの過不足がガンでさえ招いてしますのです。ご自身のホルモン代謝の過程でたくさんできてしまいます。これについては20世紀までは一言、体質といえば済んでいたのかもしれませんが、今私たちが提供する医療では、それを確認するのが当たり前になっています。実践すべきことは多くの人が知っています。しかしその視点から検査しかしていないのです。今も昔も、医学部や歯学部では病気のことしか学ばないので、自ずと病気の視点からの語り口になるのです。だからこそ私たちは、改めて健康を学ぶために、ヨーロッパ諸国共通規格の大学院に通いました。この入門講座では健康の医学であるアンチエイジング医療を皆様にお伝えします。 検査は高額で費用がかかります。

しかし、病気は誰も代わってくれませんし、お金では買えません。病気を治すのに、薬を飲みますが、薬の代わりにサプリメントを飲むだけでは病気は改善しません。お金をかけるべきはサプリメントではなく食材です。症状で薬やサプリメントを飲むのではありません。原因を探ることが大切です。漢方も症状に応じて生薬を取るものです。これも対症療法に他なりません。病気であれば病気治療のプランも必要なのです。すでに、最先端のアンチエイジング医療は、どの食べ物がいいとか、どのサプリメントがいいとか論じる時代は終わり、アンチエイジングドラッグの時代に移ってきています。