一年のうちで最も気温が低く、降水量が少ない時期です。この時期のブルーベリーは休眠中。
この時期の休眠は、主として芽の中の生理的な要因によって制御される自発的休眠です。
1月に引き続き気温は低く、空気は乾燥しています。
2月の低温は、1月と同様に花芽および葉芽の自発休眠が覚醒するために必要です。とくに、低温要求量が多いノーザンハイブッシュでは、2月前半までの低温が重要です。
2月、花芽は少し膨らみはじめます。厳寒期でも花芽は生育しています。
寒さが日増しにゆるんでくる3月。花芽および葉芽は、温度条件が整えばいつでも発芽、開花できる状態になっています。3月上旬になると、花芽は急激に大きくなり、3月中旬ごろには、新根が伸長します。
3月、花芽はさらに膨らみ、花房が割れてきます。
気温が急激に上昇する4月。ブルーベリー樹は休眠期から成長期へと移行の時期。
花芽は開花し、葉芽は花芽より遅れて発芽し、地温の上昇に合わせて、根の活動も活発になります。
また、3月下旬から4月上旬にかけて挿し木(休眠枝挿し)を行います。
4月、小花が次々と開花して満開を迎えます。
その他のポイント
ブルーベリーは他家受粉によって結実率が高まり、果実が大きくなって成熟期が早まります。鉢植えの場合は、開花期間中、強い風が当たらない、日当たりの良いところに移して並べておきます。
4月に開花していた花は5月までに、開花→受粉→受精→結実→幼果(果実の成熟する前段階のもの)、という過程を経て少しずつ幼果が大きくなっていきます。一方、新梢伸長はさらに盛んになり、5月下旬には長いもので15~20㎝くらいになります。根の活動も盛んになるので、水やりおよび施肥管理が重要です。
5月、開花、結実から1か月が経ち、果実が大きくなっていきます。
梅雨の季節(北海道は除く)を迎える6月は、雨の日や曇天の日が多く、湿度が高いため、土壌水分が多くなります。この時季はブルーベリーの栽培に適した気候ではありませんが、品種選定と収穫方法でカバーしましょう。
6月、早生種~中生種が成熟していきます。
梅雨が明けると、気温が上昇して降水量は少なくなり、日照時間が増加します。4月から伸びている春枝(一次伸長枝)は、6月下旬から7月上旬ごろに伸長が停止。この種類の枝は、一般的に緑枝挿しに利用できます。
7月、ハイブッシュの中生種、晩生種が成熟期を迎えます。
日照が強くなって高温多湿になり、土壌の乾燥が進む8月。1日の最低気温が高く、真夏日あるいは熱帯夜が続くのもこの月です。8月はラビットアイの成熟期で、収穫期はおよそ1か月間続きます。
8月、多くのラビットアイが成熟し、収穫最盛期が続きます。
9月の気温は月の前半と後半で大きく違います。前半は夏の影響が残って暑い日がありますが、後半には気温はしだいに低くなり、秋らしくなってきます。また、9月は強風害や多雨をもたらす台風シーズンでもあります。
9月、収穫後も主に水やりや除草を続けて行います。
その他のポイント
台風は大量の降水をもたらすため、粘質で通水性が良くない土では、
滞水が問題になります。降った雨が土の表面や植え穴部分に溜まるため、酸素不足から根が障害を起こし、ひどい場合には枯れてしまいます。基本的な滞水対策としては、植えつけ以前に土壌を軟らかくし、通水を良くする土壌改良を行っておきます。
10月の気温は、9月と同様に月の前半と後半とで大きく違います。この時期、ハイブッシュでは紅葉が始まります。また、翌年に開花、結実する花芽はかなり大きくなります。
10月、ハイブッシュは紅葉シーズンに入ります。
その他のポイント
ブルーベリーの根は浅く、土壌の乾燥および地温の変化が大きい所に分布しています。そこで根の活動を促進させるために、10月から落葉までの間に、土壌の表面を木材チップなどで覆う「有機物マルチ」を行います。有機物マルチには、土壌水分の蒸発を抑えたり、地温を調節したり、雑草の伸長を抑えるなどの利点があります。
気温の低下を受け、樹の生育は抑制されます。一般に、11月から翌年3月までの5か月間を、休眠期といいます。11月半ばになると、ノーザンハイブッシュの品種は、ほとんどが落葉します。
11月、紅葉の最盛期です。色合いは、光や温度で微妙に異なります。
冬の寒さも本格的になり、枝上の花芽や葉芽は休眠期に入り、低温が厳しくなる時期に向かって耐寒性をだんだん強めます。葉芽と花芽が健全に成長し、正常に開花するには12月~2月にかけて一定時間、低温に遭遇する必要があります。
12月、多くの品種は休眠期に入り、落葉します。
その他のポイント
各品種の耐寒性の強弱によって、地域ごとに栽培できるブルーベリーのタイプが異なります。
・冬期の低温が-20℃にも達する…ノーザンハイブッシュ
・冬期の低温が-10℃にならない…ノーザン、サザンハイブッシュおよびラビットアイ
・九州南部や沖縄県…サザンハイブッシュ
※冬期気温別の栽培可能タイプの目安です。
また、ブルーベリーの健全な成長には12~2月にかけて低温(1~7.2℃の温度)に遭遇する必要があります。
これを低温要求量といい、品種によって次のような低温時間が必要とされています。
1月、花芽および葉芽は寒さにじっと耐えています。